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播州三木鉋鍛冶三代目
鍛冶銘 鉄心斎芳楽



鍛冶屋が集めた鉄の古道具民具 弐

 35 細い丸ヤスリ            
鋼 玉鋼
   
  時々古い鐵の道具を持って見せに来てくれる人がいます。少し前に古い鐵の釘や建物の金具などを持って来てくれました。その中に細いヤスリの様なものがあり調べると言って預かりました。長さが25cmのものが1本と23cmのものが2本あり、太い所の直径が約5mmです。

断面は円ではなく8角形で作られています。8角形に鍛造した後表面を削らずにそのままタガネで目を立て焼入れしたものか。その3本を研いで調べると全て玉鋼で出来ています、珍しいです玉鋼のヤスリとは。ヤスリは道具といっても誰も関心を持ちません。「千代鶴是秀」という本に玉鋼のヤスリ鍛冶の事が載っています。明治20年頃「七」という年配のヤスリ鍛冶は、大工が鋸の目立てに使うヤスリを作っていた。

七の作ったヤスリは使ってすり減っても細かく欠けて新しい角が出てくる感じで、これを使うと他の鍛冶屋のヤスリは使えないといわれたという。腕もいいし材料の玉鋼の選び方もよかったのだろう。大工が買いに来ても1本しか売らなかった、精魂こめたヤスリを大事に使って欲しいいう意味だろう。

ある時なじみの大工が地方へ仕事に行くので5・6本欲しいと言ったら、理由がもっともなので考えた末、1本毎に敷居をまたいでもらい1本づつ売ったという。 三木にも金物が発展する以前からヤスリ鍛冶は居ました。道具を作る道具だから古くから何処にでも居たのだろう。

 34 長い柄の鉈
鋼  現代鋼  地鉄 現代鐵
   
 変わった形の鉈です。刃部の長さが五寸九分背の厚みが約二分、柄の長さが一尺三寸二分の長い鉈です。 刃の部分に横に筋があるので錬鉄だろう、和鉄だと鋼が玉鋼だろうと思ったが、買って研いでみると筋が消えてゆく。 なんじゃこれという感じ。現代鉄に現代鋼の道具でした。飯森という刻印口金は鍛接して作ってあり、柄も古色を帯びて古い感じがします。しかし使う道具だろうか。
 33 刈り込み鋏

鋼  現代鋼   地鉄 現代鐵

   
 この刈り込み鋏は全長68cmで刃部の長さが17cmの普通サイズの刈り込み鋏です。

材料は現代鉄に現代鋼を鍛接されて作られていて、川原町熊太郎作と下に川治と銘切りされています。何処かの野鍛冶が作ったものだろうか。萱葺きや藁葺きの屋根を葺く時、軒を切りそろえるのに使った道具だろう。

刃を研げばまだ使えそうです。

 32 変った鎌    

鋼 玉鋼   地鉄 和鉄

   
 この鎌は刃の長さが29cmで柄の長さが29cmの薄い鎌です。刃の厚みは1mmしかありません。和鉄に玉鋼が割り込み鍛接されています。しっかりとした和鉄ですが、玉鋼の炭素量は低そうです。見かけは大きいが軽い鎌です、何の仕事に使った鎌だろうか。

大きな葉の野菜の収穫用だろうか。

 31 錨           
材料 現代鉄
   
 この錨は高さ95cm・四本爪の幅は44cmの錨です。 古そうなので和鉄製だろうと思って買いましたが現代鉄製だろう。
黒い塗料が塗ってあり研磨して調べていませんが、錆の状態を見ると現代鉄だろう。
よく使われたのだろう鎖を繋ぐ部分が摩り減ってもう厚みがありません。 今は家の玄関の大黒柱の前に置物として置いています。
 30 変わった包丁

鋼  玉鋼     地鉄 和鋼

   
 この道具は包丁なのか鉈なのかはっきりとは分かりません。 全長435mmでいわゆる刃部は305mmありますが、刃先100mmは刃がありません。刃先に手を添えて押し切ったのだろうか変わった包丁です。刃は欠けていて裏を見るともう鋼はあまり残っていない様だ。新品の頃は切る刃部の幅はもっとあり、刃先とは段があった事になる。 いい鉄錆色をしていますが、何の仕事に使ったのだろうか。
 29 裁断器
  
 これは鉋の刃や鉋台付きの箱の材料のボール紙を切る裁断器です。 三木の大塚で紙器を作っていた高見さんが病気で亡くなり廃業し、 友人の大原君の所にありましたが、「お前とこに置いとけや」と言って私の家にあります。
台の縦が86cmで横が80cm、切断刃の長さは取っ手を入れると108cmあります。 台は厚み80mmのケヤキの一枚板に太い足が付き、 重さは分かりませんが二人で持ってもかなり重い。 あまりに立派な道具で捨てるのはもったいない。
 28 手釿(てじょんな

鋼  玉鋼   地鉄 和鋼

   
 この手釿は刃幅72mm全長121mmの小型の釿です。 良く締まった和鉄にいい玉鋼が鍛接されています。 地鉄の錆び方は一見現代鉄の様ですが錆は浅くいい鉄色をしています。

木の臼を掘るための道具だが、切れ味が良かったのだろうよく使われてもう鋼があまりありません。

木の柄も味のある古い木が付いていて、いかにも古道具という雰囲気があります。
27 変わった鉈

鋼  玉鋼 地鉄 和鉄だろう

   
 この鉈の様な鉄の道具は何に使った道具か分かりません。 刃部の長さは35cmで幅は2.5cm背の厚みは9mm全長は49cmの変わった鉈です。介在物の多い和鉄に玉鋼を割り込んで使った鉈です。玉鋼はいいものですが1ケ所割れがあります。 銘の変わりに菱形の記号が銘切りしてあります。 しかし何の作業に使った鉈だろうか。
 26 本装断ち

鋼 玉鋼   鉄 和鉄

   
  この皮断ちは刃部の幅は二寸、丈も二寸の小振りな皮断ちです。厚みは薄く1mm位ですが和鉄に玉鋼を鍛接して作っています。これだけ薄く広く一定に延ばすのは難しいだろう。鍛接の後鍛造で薄くした為か地鉄に少し地マサがありますが使うにも問題ありません。錆と古さで裏の?目もあまり残っていません。かなり古そうなものですが少し前まで使っていた感じがあります。

訂正です。
三木市立図書館にあった古い金物のカタログを見ると本装断ちと書いてありました。何に使う刃物だろう、布地を切る道具だろうか。

 25 鉈

鋼 玉鋼  地鉄 和鉄だろう

   
  この鉈は刃渡り五寸五分で刃の幅は三寸五分、厚みは刃先で一分背の方は二分から二分4五厘あります。
刃部は玉鋼で
背の方の和鉄と斜めに鍛接し、そのまま仕上げていて刃は両刃です。玉鋼の質は大工道具に比べそんなにいいものではありません。
重さもあり刃は鈍角なので包丁の様な使い方ではなく、木か何かを割るのに使ったと思います。
 かなり古いものでどこかの野鍛冶が作ったのだろうか、いい鉄味の出た古道具です。しかしどんな用途に使ったのだろう。

 

 24 千歯こき
   
  この千歯こきは刃部が幅30,5cm高さ24cmで普通の大きさです。材料は残念ながら現代鉄製です。歯の裏表に銘きりがあり、作られたのは明治33年で1等賞とあるので何かの賞品だろう。

 千歯こきは元禄時代に考案されたものです。もともと堺の大工が作ったものを倉吉の佐平という人が堺から技術を持ち帰り倉吉で作り売り始めました。それまで使われていたこきばしに比べ資料によると、3倍から10倍も能率が上がったそうです。そのためまたたく間に全国に広がり300年間の使われたそうです。

 

参考本『豪商たちの時代』
 

23 大きな碇と小さい碇

   
  左の大きい碇は高さ131cm幅71cmで重さ25kgの残念ながら現代鉄です。軸部には錆びが筋状にあり鍛接しているので錬鉄である和鉄だと思って買ったのだが研磨すると現代鉄だと分かりました。大きくて形も良くいい物だと思ったのに残念です。

右の小さい碇は高さ48cm幅32cmで重さ2,5kgの錬鉄製です。たぶん和鉄製だと思いますが鎖を繋ぐ部分が欠けています。これはあるホームセンターで展示会した時に年配の鍛冶屋マニアが持って来てくれたものです。かなり古いものなのか腐食がひどいです。

 23 大振りな錐
   
  この錐は全長1尺で柄部の最大径は一寸一分、刃部の長さは2寸最大幅四分の大きな錐です。写真の様に刃部が軸に鍛接して作られています。この作りを見て玉鋼製だと思いましたが現代鋼製です。

 この作り方は鍛冶屋として理解に苦しみます。鍛接すると温度を上げるために鋼の性能は落ちます。温度を上げずに太目の鋼を鍛造して形を作ればより良い刃物が出来ると思いますが。

 鋼が手に入り難い時代か、そんな所の鍛冶屋が作ったものかも知れない。しかしこんな太い錐は何の道具だろうか、特殊な職人の道具だと思いますが。知っている人がいたらご教授をお願い致します。

 22 和鋼和鉄製の金床
   
  私の家に昔からある古い金床です。今は焼き入れの後の歪み取りと、刃研ぎ直しの時の裏出しに使っています。上部が10cmに34cmで下部は17cmに42cmの台形で重さは分かりませんがかなりあります。

 金床の表面の4角の穴の横が少し窪んで微かに波打っています。これは大部分の和鉄の上に玉鋼を鍛接して作った金床で、玉鋼の部分が薄くなったためになったと思います。 

 「鍛冶屋の教え」の本によると親方は自分の弟子が独立する時金床を作って餞に贈ったそうです。作り方は近所の鍛冶屋に応援を頼み、川原に火窪を作り鞴2台で火を起こす。あらかじめ作っておいた和鉄のブロック数個を、火窪で熱しそれを大鎚3本を使って鍛接して金床の形にまとめる。次に玉鋼を和鉄の台の上に沸かし付けをする。 形の出来た金床の上部を熱し川に引きずりこんで焼入れをする。その後そこで1杯飲みながら弟子の独立を祝ったという。

 また和鉄の金床ばかりを使っていた時代、使い減った金床の上部に再び玉鋼を鍛接して修理する鍛冶屋が居たそうです。

 21 桑切り道具
   
  桑切り庖丁と桑切り鎌です。庖丁は刃部の長さが34,5cm幅が9,5cmで全長は48cmです。厚みは厚い所で2mmの薄く大きな桑切り庖丁です。刃先に幅3cmほど丸くカーブしながら鋼が鍛接されています。材質は残念ながら現代鉄に現代鋼ですが錆は深くなくいい鉄色をしています。畳屋庖丁が同じ様な形でありますが刃の厚みがもっと厚いようです。  

 桑切り鎌は刃部の長さが5cmで握れば指に隠れてしまうほど小さい鎌です。和鉄に玉鋼を鍛接し火造りの鎚でほとんど形を作った鎌だろう。鎌もこれだけ小さいと作るのも難しいだろう。

用途ですがネットで調べると桑の新芽の葉だけを刈る「クワツミ」と呼ばれる鎌の様です。かなり以前に作られた鎌だと思います。

 

























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