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播州三木鉋鍛冶三代目
鍛冶銘 鉄心斎芳楽



鍛冶屋が集めた鉄の古道具 民具 壱

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 20 断ち切り道具
   
   変わった道具です。柄を含めた長さは89cm・刃部の長さは41cm・最大幅は10,5cmで重さは5kgあります。

鋼はたぶん現代鋼だろう、鉄は研いだ面はチェン地の様に見える。しかし周りの鉄肌は錆も深くなく和鉄の雰囲気だ。いい鉄肌をしてるいのでたぶん和鉄だろう。 刃は両刃と片刃。

 知り合いの預かり物です。この鉄で鉋を作ってくれと言われましたが、こんな珍しい道具このまま残す方がいいでしょうと私の所にあります。北陸の鍛冶屋さんが作ったそうです。

 しかし何に使う道具だろうか。重くて何度も振り上げて使うことは出来ません。何か一度に断ち切る道具ではないかと思いますが。

 ある人は石屋の道具だろうと言いますが、知っている人がいたら教えて下さい。
 19 和鉄の碇
   
 これはすごく腐食した和鉄の碇です。縦45cm・横33cm・最大幅5cmでそんなに大きくありません。 下の部分に丸い輪がありここに樫の丸棒を差しこんで使う、唐船型と言われる碇だとどこかで読んだ記憶があります。 江戸時代には和船の碇としてすでに4本爪の碇が使われていたそうです。

この唐船型の碇がある地方で使われていた物か、4本爪の碇より古い物か、それは分かりません。この碇に関して知っている人がおられたらご教授をお願い致します。いい鉄肌をした珍しい古道具です

 18 谷口清右衛門の鋸
   
 この鋸は全長一尺7寸三分刃部の長さが五寸6分の専門的用途の細工用鋸だと思う。 玉鋼でできた横挽き鋸で、形は刃部が厚く背が薄く元刃が厚く前刃が薄い。 細い生木を切る道具の様に見えるので、剪定用鋸と思いますがはっきりとは分かりません。

鋸刃が柄に入った状態では谷口の銘しか読めなかったが柄を外すと清右衛門の銘特徴の清という字が現れました。これは松尾具屑さんの「木工古道具の楽しみ方」の本で知りました。ただ清の字の青だけ見えて、他の字は錆びて分かりませんので断定は出来ません。

 17  竹切り鋸
   
 この竹切り鋸は銘は無く、全長一尺四寸六分で弦は錬鉄製ながら鋼は現代鋼だ。 雰囲気的に玉鋼だと思って買ったのだが思いが外れた。弦は錬鉄を鍛造して作り鋸刃もしっかりとかしめて作ってあります。 しかし鋸刃も減っていなくてあまり使った様子がありません。

いい味がでた古道具です。目立てをすれば使えると思います。

 16 片鶴嘴
   
  この片鶴嘴の柄の長さは85cm鉄部の長さ35cm。

鶴嘴の先の作りが変わっています。和鉄かパドル鉄か分りませんが鉄の間に現代鋼を割り込み、その底部に鋼を鍛接しています。この鶴嘴を使って行くと断面の大部分の鉄が先に磨耗して行き先端の鋼がいつも出ている事になります。

 この形の鶴嘴が昔からの鶴嘴ではないかと思いますが私は分かりません。

 どこかの鍛冶屋が作った物だと思いますがよく考えたものだ。しかし手間のかかる作りだ。
 15 桑切り包丁
   
 この庖丁は養蚕の盛んな頃、蚕の食べる桑の葉を刈る時使った庖丁だそうです。 この形の庖丁が「会津の野鍛冶」の本に出ています。

全長38cm刃部は長さ23cm幅6・5cmで、背の厚みは先で0,4mm元部で3mmの薄く軽い庖丁です。和鋼和鉄製で鉄に鋼を割り込んだ両刃の包丁で、綺麗に砥いでいませんが鋼と地鉄の境が刃紋の様に出ています。養蚕農家のある集落の鍛冶屋が作った物かもしれない。

 14 歪取りの鎚
   
 この鎚は鉋の歪を取る鎚です。ただの鎚ですが私が高校を卒業して職場に入ってから38年間同じ形であります。ただ柄を持つ所が指の形に窪んでいます。 他の仕事に使う鎚はある期間使うと柄が折れて柄をすげ直しますが、歪取り作業は鎚を強く使わないためこの柄が残ったと思います。  鎚の下にある薄い物は「ネジガネ」と言って銅の板です。捻りを取る金という意味かな。
 13 蕎麦庖丁
   
 変わった形の麺切り庖丁です。横26cm縦12cm厚み1mmの和鋼和鉄製でほとんど鍛造で仕上げています。

黒褐色のいい鉄色をしています。左の写真の右上に「三十三年上寅」と銘切りがあります。 明治33年に上寅という人が作ったのだろうか。こんな形の麺切り庖丁は知らなかったが、「会津の野鍛冶」と言う本の中にこの形の庖丁が「そば包丁」と載っています。この形のそば切り庖丁は会津地方で使われた様です。 するとこの蕎麦庖丁は会津の鍛冶屋が作った物だろう。それにしてもいい鉄肌をしています。

 12 左文字の出刃包丁
   
 この「左文字」の出刃包丁は、私の家の隣の金物問屋「ミヤケ」さんの古い蔵を整理した時に出て来た物です。錆があり売り物にならなくなった庖丁6本ほどもらった中の一つです。作られたのは太平洋戦争前頃です。

地鉄に綺麗な模様が出ています。普通の錬鉄や和鉄ではない。今の製鉄法で作られた完全に脱炭出来なかった鉄かと思ったが、小さな黒い介在物があるので錬鉄だ。シマのある錬鉄を折り返して鍛錬している感じで、ふつうの庖丁にこんな鉄を使うのかなあ。不思議な鉄だ。

  【「左文字」は潟~ヤケの登録商標です】

 11 掻きだし道具
   
 この道具は4番目の看板に出ている5本爪の古道具です。 初めて見た時から何も考えずに鍬だろうと思っていたが、よく見ると柄の取り付け方がこの形では鍬としては使えない。 9番目のたたら道具にそっくりだ、するとこの道具も何か掻き出し集める道具か。

何に使われた道具か解らない。和鉄で出来ていて爪の先には和鋼が鍛接してある。かなり古い物だと思います。

 10 井戸の物取り道具
   
 この道具の名前は知らない。井戸を使っていた頃井戸に物を落とした時掴み上げる道具です。

材料は残念ながら錬鉄が少しほとんど新鉄で出来ていて、そんなに古い物ではないだろう。しかし鉄と鉄はしっかりとカシメて入念に作ってあります。 昔から私の家にあり近所の人が借りに来た事もありました。

 9 たたら道具
   
 この鉄の古道具は何時何処で購入したのか覚えていない。股の間が10cmで何に使う道具なのか全く分からなかった。インターネットの玉鋼で検索した「玉鋼製造」のたたら操業の終わりにヒを引き出す時、炉壁を引き倒したり物を掻き出す道具によく似ている。

「日本の鉄」という本にも同じ様なものが、たたら道具として出ているので間違いないだろう。全体が和鉄製で表面が岩肌の様にゴツゴツとした黒茶色の鉄肌をしている。かなり古い物だと思う。

 8 鉄瓶
   
 この鉄瓶はかなり以前篠山の古道具屋で買った物。幅18cm高さ25cmの普通サイズか。

鉄瓶の作者が龍文堂造と銘切りがある。インターネットや本で調べて見ると龍文堂は、明和安永年間(1770年頃)南部鉄瓶と前後して鉄瓶を造り始めている。何代も続いているのでこの作者が何代目かわかりません。 この蓋の取っ手の作りは繊細で丁寧な仕事をしている。置物としても日本的でいい物です。

 7 与岐
   
 この与岐は刃の幅が85mmの小型で、知り合いが風呂焚き用の薪割りに使っていた古道具。その時は荒く砥いで和鋼和鉄だと思っていたが、ホームページに載せるため砥いで見ると地鉄は日本鉄ながら鋼は現代鋼ちょっとがっかり。 長い間放って置いても錆は進まない。これが日本鉄か!
 6 日本剃刀
   
 桐箱の上に皇国優等別製御請合剃刀壱と張ってある日本剃刀。大正か昭和の初め頃のものだと思います。刃の鉄の部分は?で透き周りを鑢で仕上げた手造り品。  1丁づつ桐箱に入れた丁寧な包装だ。多分高級品だろう。
 5 踏鋤
   
 この農具は長さ85cm鉄部の先幅が18cm長さ35cmの踏鋤と言う古道具です。田んぼが粘土質や湿地帯のような所の排水路を掘る道具で、現在でもこの形の踏鋤が一部の所で使われているそうです。 木の部分をはめ込む溝の事を風呂と言い、鉄の部分に高治と銘が切ってある。 鍛冶屋はこの風呂をタガネで作るのだが、その作業が難しいと思う。
 4 錨 (引っ掛け)
   
 これは錨の形をした、井戸に落ちた物を引っ掛けて上げる古道具だと思うのだがはっきりとは判らない。

二つは錬鉄製、右の物は高さ14cmで細い角棒を鍛接して作っている。和釘で作った物だろう。

 3 大草刈り鎌
   
 この大草刈り鎌は一見古そうで和鋼和鉄製かなと、思って買ったのだが研いで見ると現代鋼製だ。しかし作りはいい、刃の全長は32cmの火造の鎚で形を作った両刃の黒打ちの鎌だろう。口金も鍛接で作ってある。  よく使われてカーブのきつい所はもう鋼が無い。
 2 庖丁
   
 この庖丁は京都の東寺の弘法市で買った物です。何を切るのに使ったものか分かりませんが和鋼和鉄製の薄い刃です。

刃部と本体はカシメてある変わった作りです。綺麗に研いでありませんが刃先は日本刀と同じ様に、匂・錵のある刃紋が浮き出ている素晴らしい古道具です。銘は梵字みたいな物に清とあります。              

何に使った庖丁か知っている人がいたら教えてください。    
 1 看板
   
 これが看板かどうか分かりません。どこかの物好きが古道具の農具を板に張り付けた物かも知れない。買った時は麻紐で縛っていましたものを私が和釘で止めました。小さい方の鎌が古く見えて玉鋼製かと思ったが研いで見ると今の物。

 ちょっとガッカリ。しかし壁か棚に飾ったら面白いかも。
























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