播州三木鉋鍛冶三代目
鍛冶銘 鉄心斎芳楽
鍛冶屋が集めた鉄の古道具大工道具 弐
32 一寸一分の追入鑿 地鉄 和鉄 鋼 玉鋼 |
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この鑿は幅一寸一分で刃部の丈は一寸三分、柄を入れた全長は7寸の追入鑿です。和鉄に玉鋼で出来ていてかなり古いものだろう。 口金も下り輪も鍛接して作られています。多分和鉄だろう。裏の部分の半分位しか鋼が付いていなくて、裏を押し切ってベタ裏になっている。そのため片方の角の鋼がなくなる位薄くなっている。鉄は介在物が多いですがしっかりとした和鉄です。玉鋼も介在物は小さく鍛冶屋はいい鑿を作っています。 しかし使った人が裏を押し過ぎて鋼がなくなり放置された鑿だと思われます。柄は新らしそうですが使う人が作った様です。角の部分は磨り減って丸くなっています。 | |
31 ミニサイズの前挽型鋸 鋼 玉鋼 |
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この変った鋸は全長一尺二寸三分で刃部の長さが七寸七分の小さい鋸です。 先がサンダーで切られているので元はもっと長かった様です。 玉鋼製の横挽き鋸で、銘は奉寺源太島と切ってあります。 小さい鋸がこれだけ首が曲がっていたら使い難いだろう。 奉寺と銘切りがあるので、お寺を建てる時何かの儀式に使ったものだろうか。 | |
30 谷口清兵衛作の横挽き鋸 鋼 現代鋼 |
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この鋸は全長二尺五寸・刃部の長さは一尺五寸二分の横挽き鋸です。 銘は伏見住谷口清兵衛と切ってあります。 材料は残念ながら現代鋼製です。 谷口清兵衛は代々続いた鋸鍛冶ですから比較的新しいものだと思います。 しかし首継ぎ鍛接をして表面をセンで削って仕上げた古い作りの鋸です。 | |
29 埋木鑿 鋼 玉鋼 |
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この鑿は刃部の丈は7分で全長は1尺1寸5分の埋木鑿です。 和鋼和鉄製で銘の刻印はありますが読めません。 この鑿は買った時は錆まみれでワイヤーバフをかけた後、さっと研ぎましたが鋼は現代鋼だろうとほっておきました。 ホームページに載せるのにしっかり研いで見ると玉鋼です。 拡大鏡で見るとごく小さい介在物が分かりました。 この鑿はよく切れたと思います、しかし端には鋼が無くなったため使わなかったものだと思います。 | |
28 叩いて使った差す鑿 鋼 玉鋼 地鉄 和鉄 |
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この鑿はいわゆる刃部の丈が4寸3分で穂の部分が3寸6分。柄を含めた全長は1尺3寸1分の鑿です。しかし刃の部分でも鋼は1寸2分しか付いていません。鑿の種類では差す鑿になるそうです。深い穴を掘るために差す鑿を叩いて使った鑿だと思います。和鉄に玉鋼を鍛接した古い鑿の様だ。 玉鋼の質は良くもなく悪くもなく普通の出来の感じだが、使えるのはもう少し位だろうもうすぐ裏の表面にクモが刃の部分に出てくる。
口金も下り輪も鍛造して作ってあり、銘の刻印も判読できないくらい磨耗していてかなり古い鑿だろう。いい鉄錆色をしています。 |
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27 中屋銘の横挽き鋸 鋼 玉鋼? |
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この鋸は一尺の横挽き鋸です。材料は刃の所に少し玉鋼らしい傷がある他は、健全な作りで見ただけでは玉鋼かどうか分 かりません。これが玉鋼だとものすごくいい鋸です。 銘は中屋○太郎作で反対側に鈴木常三用と切ってあり、鈴木常三さんが使っていたものだろう。 作者の一字がどうしても読めません。 | |
26 吉寅銘の鉋 鋼 玉鋼 |
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この吉寅の鉋は幅が二寸一分で丈が三寸五分の昔風の鉋身も鋼も薄い鉋です。地鉄は和鉄を使い玉鋼が鍛接されています。地鉄は錬鉄と見間違わない程和鉄の特徴が出ています。
鋼はいい玉鋼です、キング800番や中砥では介在物が確認出来ないほどで、きっちり合わせ砥石を当てて、拡大鏡で見て極小さい介在物が分かりました。 鉋の表面は野外で放置されていたのか全体に梨地状の錆が浮き現代鉄の錆の様です。しかしワイヤーバフで磨くと黒茶色の渋い色になってきました。 鋼の部分は残っていてまだ使えそうです。 |
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25 源兵衛の鉋 鋼 玉鋼 |
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この「源兵衛」鉋は刃巾一寸九分の寸四の鉋で、和鉄に玉鋼を鍛接したかなり以前に作られた鉋です。地鉄は日本古来の和鉄で介在物の多い研ぎやすそうな鉄ですが、鋼の部分はもう残っていない程使われていてあまり分かりませんが良さそうな玉鋼です。江戸時代から明治にかけて玉鋼で作られた鉋のほとんどは、一寸九分の寸四の鉋で二寸一分の寸六の鉋は少し見られ、今使われている寸八の鉋ほとんど無いそうです。
鉋の厚みは薄く裏は鏟のすきならし、甲は火造りの打ちっぱなしで仕上げています。源兵衛銘刻印の上に「本」の刻印換先(かいさき)には花押の様なかけ判が打ってあり、甲には小さな市松菱の刻印が打ってあります。よく切れたのだろう最後まで使い切ってほとんどもう鋼が無い。和鉄の刃物は錆びていてもワイヤーバフをかければ、いい鉄錆色の地肌になります。最後は台直し鉋として使っていた様です。 |
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24 古い釿 鋼 玉鋼 |
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この釿は幅が二寸九分で丈が三寸です。片刃の様に見えますが両方に地鉄のある両刃で銘はありません。地鉄は大きな介在物がぽつんぽつんと入った強そうな鉄で、柄の入る袋の部分は薄い和鉄板を鍛接して作っています。
玉鋼は介在物が少なくいい様に見えますが、研いで見た感じは鉄の様に色は薄く炭素量の少ない鋼の様に思います。表面の仕上げは錆びて分からず、雰囲気的に綺麗な鉄錆色の出たかなり古い釿だと思います。 まだ鋼は残っている様で使えそうな感じです。 |
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23 玉鋼の埋木鑿 鋼 玉鋼 地鉄 和鉄 |
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この鑿は全長一尺二寸三分穂の長さ一寸七分幅七分五厘の埋木鑿です。
和鉄に玉鋼を鍛接した古い鑿です。研いで見たところ裏にも刃の方も細かい介在物がありますが玉鋼としてはいいものだと思います。 鋼は穂の半分ほどしかなく古い作りを感じます。そして甲のヤスリ目が細く深い様に見えます。これは鍛冶屋自作のヤスリで削った目かもしれない。 全体に黒っぽく古色の出たいい色をしています。かなり以前に作られた鑿だろうと思います。 |
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